住まいのすごろくマップ

第2ステージ 「住まいを使う」

雨漏りが発生する

新築から数年経って、雨漏りが発生してしまいました。あなたは雨漏りを放置せず、施工した建設業者に電話を入れました。それは適切な処置といえます。雨漏りによる建物の傷みは外観では分かりづらい場合があり、最悪の場合、建物の構造安全性をそこなってしまうことがあります。

住まいの維持保全を行う

念願のマイホームを手に入れることができました。家具やカーテン、照明器具なども好きなものを揃え、幸せな生活を送るスタート台に立ったことになります。

ですが、竣工した時点から時を刻み始める家は、長い年月の間に劣化していきます。私たちが安心して生活ができるのは、家が過酷な自然環境から守ってくれるからです。その分、照りつけるような暑さ、凍り付くような寒さ、雨や風、雪、地震などの様々な自然からの攻撃に対し、私たちに代わって「家」が毅然と抵抗してくれていますので、そのぶん傷みを受けていると言えます。

木は腐り、コンクリートはひび割れ、鉄部は錆びる、見えないところの給排水管が詰まって流れが悪くなったりするだけでなく、管自体が劣化します。ガス管も例外ではなく、古い住宅で敷地内にガス管(亜鉛めっき鋼管)を埋めている場合などは、下手をすればガス漏れするかもしれません。このような「家の傷み」は、適切に手当てしてあげなければなりません。この手当てのことを、「維持管理」とか「維持保全」と言います。

私たちの体は、自分自身で健康管理をしなければなりません。食べ過ぎ、飲み過ぎは無論のこと、けがをしたり病気になったりすれば病院で手当をしてもらいます。同じように家の健康管理も必要です。見た目以上に痛んでいたり、見えないところで悲鳴をあげていたりするかもしれません。塗装が剥げた、ガラスが割れた、管が詰まったなどもあれば、すきま風が入る、建て付けが悪いなどもあります。もっと大きなところでは、雨漏りがする、床が腐った、天井のモルタルが落ちた、家が傾いた、塀が倒れたなどということもあります。どこがどのように痛んでいるかを診断し、必要な治療(修繕)を施します。当然、お金がかかる話ですので、懐具合と相談し、優先順位や修繕方法などを決定します。

ほかにも、いろいろなウェブサイトがあります。改修、目安、住まい、維持管理などのキーワードで検索してみましょう。

住宅履歴情報

住宅の維持管理は長い年月に渡る時々の修理ですから、次の修理時には記憶が薄れてしまっているかもしれません。どのような修理をいつ行ったのか、それぞれの記録をとり、保存する必要があります。住宅履歴情報とは、住宅の設計・施工、維持管理、権利及び資産に関する情報をいいます。住宅所有者が蓄積、活用していくためのもので、いつ、だれが、どのように新築や修繕、改修・リフォーム等を行ったかを記録した、住まいの「履歴書」の役目を果たします。

普通の修繕であれば、適時適切にきちんと実施していけば建物を長く持たせることが可能です。しかし、建物は風雪に耐えるだけでなく、室内の快適さも持続させなければなりません。そうすると、生活パターンの変化に合わせたリフォームや、陳腐化した設備の取り替えなどをも実施します。これらは、一般的な維持管理のワンクラス上となり、いわゆる付加価値や効用の増加を伴う「積極的な維持管理」と定義することができます。元に戻す(原状回復)だけでなく、部材や設備をグレードアップすることで、満足度も高くなります。

これに対し、とりあえず直っていればいいというような対応型の修繕もあります。例えば、ペンキが剥げたら、その剥げたところだけ再びペンキを塗るというような場合です。剥げたところ以外の部分と再塗装した部分で色が違ってきてしまいます。つまりつぎはぎだらけの家となります。もうすぐ大々的にリフォームするから、今はこの程度でいいという計画であれば何ら問題はありません。

しかし、そのような余裕もなく場当たり的に直すのが精一杯ということであれば、ひび割れ箇所を埋める、剥げたところだけをペンキで塗る、錆びたネジだけ取り替えるなどと応急的な修繕でかまいません。全体で見れば、多少チグハグかもしれませんが、まずは出血を止めるということが大事であり、緊急を要する箇所のみ修繕しておけばいいのです。ただし、もしそのままであれば、その家を売ろうと思っても、なかなか希望する金額では買い手は現れないかもしれません。売らんがための見てくれだけの修繕はもってのほかですが、「住まい」として売却すると言うことであれば、きちんと補修を行い、健康で美しい「家」として旅立たせてあげたいものです。

改修に掛かる費用

国土交通省では、リフォームなど改修費用についての現在の問題点を次のように指摘しています。「消費者の多くが、リフォームを依頼する際にどのくらいの費用がかかるのか分かりにくいと感じており、アンケート調査において、リフォームする際に重視する点としても、「価格の透明性・明朗さ」(39.4%)をあげている。リフォーム工事は、設備の交換から耐震改修まで、工事の規模も内容も様々であり、また、複数の工事を組み合わせて実施することも多いことから、工事費用を一概に比較できないという課題がある。また、専門的知識や経験の少ない消費者にとっては、リフォーム工事の見積内容をチェックするのは難しく、リフォーム工事の市場価格に関する情報も不十分であることから、消費者が価格の妥当性を確認するのは困難な状況にある。」(以下のウェブサイトのp.6)

リフォームは、まだまだ消費者に分かりにくいものとしてとらえられているようですが、この資料の中には(p.38)、リフォームの平均工事費も載っています(平成22年度住宅リフォーム実例調査報告書より)。部品の取り替えから耐震改修やバリアフリー改修、一戸まるごとのリフォームまで、多種多様なリフォームの契約金額がありますので、いくらとは言いがたいところがあります。あくまでも参考値ですが、平均が600万円程度の工事費になっていることが分かります。

維持保全のタイミング

住まいは建っている間にずっとメンテナンスフリーではありません。必ず維持管理が必要になります。たとえば雨漏りしてしまう屋根ですが、屋根を雨漏りせずに維持するには、点検と必要に応じた補修が大切です。その目安はいろいろ情報が出されていることを説明しましたが、補修の目安となる年を参考にしながら、家の定期的な点検をしていく必要があります。そのために、施工した時の業者や信頼できる業者をさがしましょう。補修を後回しにしていると、修復費用も増加してくる場合があります。お隣近所などで住まいの修繕を見つけたら、ご自分の家のことも考えてみましょう。補修の機会をのがさず、補修した場合はその履歴を保存することが、これからの住まいには求められているのです。