住まいのすごろくマップ

第2ステージ 「住まいを使う」

窓が結露してカビる

ようやく手に入れたマイホームで末永く安心して暮らしていくためには、住人である皆さんはもちろん、住まいの健康に配慮することが大切です。「住まいの健康?」と思われる方も多いと思います。たしかに、住まいは生き物ではないのですが、建て方や住まい方によっては建物の寿命を短くしてしまうことがあるのです。寿命を短くすることを病気と考えると、一度病気になった住まいは、自然に回復することはないのです。

住まいの病気とは?

暖房設備や水回りの機器を長く使っていると、故障したり、使えなくなったりしてしまうことがあります。このような時は機器を修理したり、交換したりすることで住まいの病気は回復します。また、水やお湯の配管が古くなり、赤い水が出たり、接続部から漏れが発生したりすることもあるかもしれません。このような時は配管を点検し、新しく配管をし直すか漏れを修理することで住まいの病気は回復します。これらの住まいの病気は、早く対処すれば住まいの寿命を短くすることはありません。

住まいと結露

我が国のほとんどの地域では、冬は寒くなり、夏は暑くなるので、暖房や冷房を行って生活することになります。暖房を行っているとき、窓が曇ったり水滴がついたりしているのを見たことがありませんか? この水滴は「結露」と呼び、建て方や暮らし方で発生するもので、住まいの健康にとって実に厄介な存在なのです。

結露が発生するということは、住まいの内側が濡れていることになります。窓は目に見えるためにわかりやすいですが、目に見えない外壁の中にも結露が発生している可能性があるのです。氷が入った飲み物のグラスの外側に水滴がつくことと同じ原理で、冬期の窓ガラスの外側と室内側の温度差が大きくなり、窓ガラスの室内側の表面が冷たくなると、室内の水蒸気が付着して結露になるのです。このとき、外壁面の内部の目に見えないところで結露が発生しているかもしれません。結露が発生して濡れている状態が続くと、カビが発生したり、構造体が腐ってしまうことがあります。そうなると、住民の健康を害するばかりでなく、機器交換程度では回復しなくなってしまうので、住まいの建て方や日頃の暮らし方が重要になってきます。

結露が発生しにくい住まい

住まいの建て方では、断熱性能と気密性能を高くすることが重要です。窓ガラスや外壁自体を熱の通りにくい構造にし、さらに外の空気が室内に容易に流入しないような配慮を行うと、ガラス窓の表面温度は低くならず、結露が発生しにくくなります。新築住宅を手に入れる時には、断熱性能と気密性能のレベルが高いことを確認してください。住宅の品質確保の促進等に関する法律(1999年法律第81号)に基づく性能表示のうち、「5-1省エネルギー対策等級」に定められている等級4の基準を満たしている住宅であることを確認しましょう。

中古住宅を購入する際、上記の等級4の基準を満たしているかどうか確認できない場合は、窓ガラスを確認すると良いでしょう。外壁に面した窓ガラスが1枚だけの場合(シングルガラスといいます)、断熱性能は高くありません。また、玄関ドアの戸当たりの部分にパッキンがあるかどうか確認してみてください。パッキンがあると気密性に配慮した玄関ドアであることがわかり、住宅の気密性も高いレベルにあると推測できます。窓やドアなどの開口部は、住まいの中で最も断熱性能が弱く、暖房時の熱エネルギーの半分が逃げていくところです。そのため、住まいの健康だけでなく、省エネルギー性能を高くすることが必要となってきます。

気に入った中古住宅を見つけたけれども、断熱性能が良くないことが分かった場合はどうすればよいでしょうか? 住み始める前に、住宅全体の断熱改修を行うことが理想ではありますが、高額な費用がかかります。そこで、開口部の断熱性能を向上させるため、窓ガラスを複層ガラスに交換したり、室内側にもうひとつサッシを追加して二重サッシにすることをお勧めします。その際、全ての開口部の対策を行うことが望ましいのですが、最低限行うべき個所は、「日中の過半を過ごす部屋(リビングなど)」を行い、次に「寝室」「裸になる脱衣所と浴室」まで対策することが理想です。

結露が発生しにくい暮らし方

結露が発生しにくい住まいへの対策が完了したとしても、暮らし方への配慮も必要です。大きく分けて「暖房」「加湿」「換気」の3つの配慮を紹介します。

暖房をファンヒーターやストーブなど、室内で燃焼させて温める方式で行うと、水蒸気や窒素酸化物などを含む燃焼排気ガスを放出するため、断熱・気密性能が高い住宅では使用をお勧めすることはできません。結露対策にならないばかりか、閉め切った部屋で使い続けると住人の健康に影響が出てしまう恐れがあります。

また、冬期の室内空気の乾燥防止のために加湿器を用いる際は、室内に湿度計を備えて過度な加湿を行わないように配慮することが重要です。

断熱・気密性能が高い住まいでは、部屋を閉め切っていると空気がだんだん汚染されてきます。そのため、換気扇等を用い、一定以上の外気を室内に導入するように配慮してください。

これらに配慮することで、結露が発生せず、住まいの健康も保ち続けることができるようになるのです。