住まいのすごろくマップ

第3ステージ 「住み替えをする」

住み替えは実現するか?

みなさんは「終(つい)の棲家(すみか)」という言葉をどのようにお考えでしょうか?

みなさんの住生活継続計画において、いよいよ最終局面となるのは老後に安心・安定した暮らしを迎えられる住宅を見つけたか? ということになりますね。

そのためには、今住んでいる家を引っ越す必要があるかもしれません。また、すでにそういう安心できる住宅に住んでいるから「大丈夫だ!」と言う方も多いと思います。

今まで住んできた家

このマス目にたどり着いた皆さんは、このホームページ(すごろく)の流れに沿って、最低でも一度はマイホームを取得してきたというシナリオになっていると思います。

確かに、人生ゲームや、いわゆる一昔前の住宅双六では、親の家→下宿・社宅・アパート→マンション→庭付き一戸建て住宅という流れが一般的でした。そうすると、「終の棲家」は「庭付き一戸建て住宅」が「アガリ」になります。

マンションは、都心部が中心ですから、住んでいる地方によっては、マンションを飛ばして「庭付き一戸建て住宅」を最初に購入し、場合によっては最後に「親の家に戻る」という進み方になるかもしれません。

では、今まで住んできた家とはどういうお付き合いをしてきたでしょうか?住宅は「木やコンクリート、鉄などのほか、様々な部材、金具、設備」などの組み合わせで作られています。長年に渡って灼熱の太陽や暴風雨、重たい雪や火山灰などから私たちの命と生活を守ってくれています。

住宅も、私たちと同じようにケガをしたり傷がついたりします。例えば外壁にひびが入ったり、屋根の防水性能が劣化したり、鉄部が錆びる窓ガラスが割れるなどです。

また、人間で言えば内臓や血管にあたるライフライン(電気設備、給排水管やガス管など)が痛みますと、漏水や漏電を引き起こし生活そのものが脅かされます。

このような傷や痛みに優しくメンテナンスを行えば、住宅もそれに応えて末永く愛されるべき住宅として皆さんとともに成長し、生涯を過ごすこととなります。

そして、いよいよ引っ越すこととなり売却を決断されるときは、まさに我が子を嫁に出すぐらいの気持ちとなるでしょう。次に住んでいただく方に大切にしてもらいたいし、次に住んでいただく家族皆様をしっかり守って欲しいと願うようになるでしょう。

私たちが定期的に健康診断を受けたり、人間ドックに入ったり、予防接種をしたりするのと同じように、「住宅」も定期的な診断や早めの手当(修繕)を行う。そうです。我が子と同じように家の苦しみや心を感じることによって、家と住民がお互いに支え合うことができるのです。その心は、私たちがその家を離れることになっても、次に住む人たちにも十分伝わることでしょう。

一方、住宅のメンテナンスを適切に行わない場合はどうなるでしょうか? 住宅に傷が付いたり不具合があってもそのまま放置していたら症状が悪化していくのは十分お判りかと思います。もう売ろうと思ったときにはボロボロになっているでしょう。こんな家、早く処分してしまおうということになりますが、そんな家を買う人が大切にしてくれるでしょうか? すぐに取り壊されて建て替えられてしまうのがオチです。長年に渡り高い住宅ローン金利や保証料を支払い、私たちを守ってくれた財産だと思っていた家が、その思い出とともに破壊されていくことになります。中には、これでせいせいしたと思われる方もいるかもしれませんね。

空き家問題

最近、ニュースやドキュメンタリー、中にはバラエティ番組でも取り上げられるようになってきたのが、「空き家の増加」です。過疎化が進んでいる地方都市、シャッター商店街のほか、廃業したスーパーやガソリンスタンドなども目立ちます。大きな庭のある住宅街があると思っても、よく見ると空き家が目立つだけでなく、通りを歩いていても全く人とすれ違うことがない。一体この町には何人住んでいるのだろうと感じることも少なくありません。

しかし、この過疎化は地方の話ばかりではありません。東京23区内でもすでに空き家問題が発生していて困っている地域も実存しています。

このフローは極端ですが、必ず上から順番に進むと言うことではありません。どこがどう入れ替わっても、残念ながら空き家が増加するという結末を改善するのは困難です。

ごく限られた地域であれば、再開発という手法はあります。私たち一人一人の力ではたくさんの困難がありますが、町をコンパクトにしながら人に優しい町に生まれ変わることは可能です。廃墟になってからでは遅いので、将来を見越して、それは自分たちの世代だけでなく、子どもたちの世代も、また、その町の歴史を形成し、住民の生活を守ってきた皆さんの住宅が大切な資産として引き継がれていく街作りが望まれます。そしてその街作りを実行していくのは私たち一人一人にかかっています。

視点を変えて考える

このホームページは、「私たち自身が住むための家」のことについて述べられていますが、少し視点を変えて、「人に家を貸す」という目線で考えてみることにしましょう。

例えば、皆さんのお住まいの土地に余裕があり、自宅の隣にアパートを建設することになったというところから考えてみましょう。アパート経営の動機としては、土地の有効活用、相続税対策、老後の安定資金の確保など様々です。

自宅の庭先にアパートがありますと、大家さんとしてアパートの前に落ちているゴミも気になって拾うでしょうし、敷地内の花壇に四季折々の花を植えたり、自宅・アパートの区分無く「愛する住宅」として維持・管理されていくこととなるでしょう。

大家さんのその心は、アパート入居者にも安らぎ与え、旅行に行ったお土産をお互いに分けたりと、良好なコミュニティが形成される素敵なアパートとして、結果的に良い入居者にも恵まれることとなるでしょう。

一方、ワンルームの投資型分譲マンションのオーナーだった場合はどうでしょうか? 投資型分譲マンションは、細切れに投資目的の人に販売されるので、買った人が自ら住むことはありません。本来であれば管理組合を作って管理しなければならないのですが、お互いどんなところに住んでいるのかも知りません。年に1回集まって総会を開催することもありません。そもそも、自分が所有しているにもかかわらず、不動産会社にすべて任せっぱなしでオーナーは報告書と家賃収入から経費を差し引いたお金をもらうだけです。

現地を見に行くこともしないでしょう。現地がどんな様子なのか気にすることもなく、所有している住宅に愛情なんか感じません。

ここで述べていることは、「住宅」とはいったいなんのためのものなのか? どのような住宅を建設すべき物なのか? どのような住宅が残っていくべきものなのかをご理解いただきたく記述しているところです。

住み替えリスク

リスクという言葉から受けられる印象は、どちらかと言えば「マイナス」な印象だと思います。「住み替えリスク」とはいったいどんなことなのでしょう?

世の中一般的には、マネジメントリスク、流動性リスク、オペレーションリスク、デフォルトリスクなど様々なリスクがあります。単語だけ見たのではさっぱりわかりませんが、これらを総合的に管理(リスク管理)し、できるだけマイナスにならないようにしていくことが求められることとなります。

では、住み替えリスクとは?

考えれば考えるほどきりがありません。「住み替える」ことをゼロリスクですべてうまくやれるというのは難しいでしょう。家がいい人に高く買ってもらえた。良い家を安く手に入れられた。近隣ともうまくやっていけそうだ。住宅ローンは低金利で借りられた。子どもも新しい学校に馴染めそうだ。住環境は申し分ない。

裏を返せば、すべて不安があったけれどうまくいったということになります。それぞれマイナスとなってしまうリスクを克服し、できるだけダメージを受けないように自分たちで努力していかなければなりません。お金さえ払えば、全部なんとかなるというような絵空事ではないのです。どれか一つ失敗しただけでもリスク対応をきちんと手当しておかなければ、それこそゲームオーバーになってしまいます。

安心して住める住宅なのか? 「安心」は物理的にも精神的にも絶対条件です。まずは建物としてしっかりしていること。その家を設計してくれる人、建ててくれる人の「心がある住宅」に巡り会えれば大きく前進します。

答えを出すのは

住み替えるか、住み替えないか。答えを作るのも、答えを出すのも、自分自身です。決して簡単に「誰かが決めたゴール」に到達すればいいというようなものではありません。逆に、住み替えること、住み替えないことのリスクを熟慮し、ダメージを最小限としつつ、すごろくのマス目を着実に一つずつ進めていく自分自身の将来設計が「住生活継続計画」です。