日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

 放射温度計とは、物体から出ている赤外線を測定して、その物体の表面の温度を表示してくれる測定器です。以前は、非常に高価でしたが、赤ちゃんの耳の穴で体温を測る体温計として普及しはじめ、その後、いろいろな物の表面温度を測定できる安価で手軽な測定器が売られるようになりました。これを使うと、手の届かない場所(例えば天井など)や、直接触れない物(調理中の食材など)の温度を瞬時にはかることができ、とても便利です。
 測定のしくみは、リモコンのように先から目に見えない光線のようなものが出ていて、それで測定しているのとは全く逆で、測ろうとする表面から出ている赤外線を受けて、それを温度に変換しているのです。この世の全ての物体(もちろん、これを読んでいるあなたもです)の表面からは赤外線を出しており、その量は表面温度が高いほど多くなります。放射温度計はその量を測定しているのです。
 ひとつ注意が必要なのは、測ろうとする表面が金属のような光沢面(ピカピカ面)は、正確な温度が測れないことがあります。実は表面から出る赤外線は、厳密には表面の状態によって出やすい場合と出にくい場合があります。写真では、手のひらに薄いアルミテープを貼りつけて、テープを貼りつけた部分と貼りつけていない部分を測定して比較しています。実際は、表面温度の違いはほとんど無いのですが、アルミテープを貼りつけた部分は温度が低く測定されてしまうのがわかります。つまりアルミテープ表面から出る赤外線量が少なくなってしまっているのです。