日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

汗がかけないなど体温調節機能が著しく低下している障がい者(例えば頸髄損傷者や脊髄損傷者)、老化により暑さ寒さを感じにくくなっている高齢者、さらに体温の調節が未発達の乳幼児等にとっては、夏季の屋外環境は熱中症の危険性が高い。特に近年の地球温暖化や都市のヒートアイランド現象により、そのリスクは益々高まっている。
屋外空間での暑熱緩和の一つの方法として、ミスト(霧)を使った方法がある。細かい水の粒を噴霧することで、気化するときに周辺の空気から熱を奪い、局所的に気温を低下させる効果がある。これは皮膚からの発汗によって体温を下げることと同じような働きである。また、ミストは見た目にも涼しげに感じることができる。非常に細かくした水粒子の場合は、噴霧によって皮膚に当たってもほとんど濡れた感覚はない。

写真1 JR朝霧駅(兵庫県)歩道橋のミスト(霧)噴射
 JR朝霧駅と海岸の公園を繋ぐ歩道橋にはミスト装置があり、利用する人たちに対して暑さを和らげている。写真ではちょうど電動車いすの人が渡っていた。

写真2 ぎふメディアコスモス広場の地面からのミスト(霧)噴射
ミストは単に暑さを和らげるだけでなく、使い方によっては楽しさの演出も可能である。岐阜市にある「みんなの森(ぎふメディアコスモス)」には、市民が様々な用途に使用できる広場があり、そこではイベントのない時は地面からミストを間欠的に吹き出すことによって、清涼感や水に親しむ空間を演出している。