日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

視作業性の良し悪しは,対象となるものの大きさ,背景との明暗の対比(コントラスト),照明の明るさによって決まる.これらの「明るさ」「大きさ」「対比」を明視の三要素という.

明視三要素の閾値について,読みやすさ評価などの際にVL(Visibility Level:見やすさレベル)の算定などに用いられる青年の基礎データはあったが、高齢者を対象としたデータは無かった。そこで、高齢者を被験者とした視認閾値に関するデータが実験により明らかにされた.

図は、青年のデータと高齢者のデータを重ねたもので、曲線は視対象の大きさ(ランドルト環視力)ごとに描かれており,視認に必要な,背景輝度と視対象の輝度対比の関係を読み取ることができる.

高齢者の必要背景輝度は青年と比較して大きく,このような閾値条件では7.6~70.1倍の背景輝度が必要であることがわかる.高齢者を対象とした視環境設計用資料として活用できる.


高齢者の等視力曲線(若年者との比較)(暗順応5分)

岩田 三千子、北本 裕之:高齢者の等視力曲線に関する研究、日本建築学会環境系論文集、Vol.709、pp.203―208、2015.03