日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

 人間の知覚能力はみな同じではない。誰しもが環境の情報を同じように受け止め、処理しているとは限らないのだ。他の人が気にならないようなことでも気になってしまい、学習に集中できないとしたら、どうしたらよいのだろうか。

 こんな環境を用意すれば、誰もが集中して学習できるというひとつの答えはないのだが、それでも、学びを阻んでいるバリアを見きわめ、それを減少させる手立てを考えることが重要だ。ユニバーサルデザインの考え方は、建築や製品だけではなく、学びのデザインにも広がっている。教室にアクセスすることはもちろんだが、学びにアクセスできる環境についても考えてほしい。学びのユニバーサルデザインの原則にひとつに、「情報提示に関する多様な方法の提供(Provide Multiple Means of Representation)」がある。音声情報よりも視覚情報のほうがメッセージを受け取りやすければ、その方法を考えてみよう。しかし、どのように情報を提示すればよいのか、全ての人に最適なひとつの方法があるわけではない。



写真1 「座ります」「静かに」「おしゃべりをやめて」(京都教育大学特別支援学校 藤村彰先生作)