日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

夏季の日中における地面からの照り返しは、ベビーカーの乳幼児や車いす使用者にとっては、歩いている人と比較して地面に近いので、より暑いと感じると言われる。特に地面がアスファルト等の場合は照り返しの影響により熱中症の危険性が高まる可能性もある。ベビーカーや車いす使用者に対する照り返しの熱的影響の研究は少なく、定量的評価には至っていない。
都市の温熱環境における照り返しは地面での反射日射と、地面や周囲の建物等からの熱放射を合わせたものと考えられる。この照り返しの影響を簡易的に測定するためにグローブ温度計(黒球温度計)を使って測定を行った。夏季に一面が芝生の地面の上で、地面から50cm(車いすやベビーカーの座面程度の高さ)で、通常のグローブ温度(上からと下から熱放射の両方を測定する)と下側半分のグローブ温度計(Halfグローブ温度計と称する。下側からのみの熱放射を測定する)を使って測定したところ、下側からの熱放射(照り返し)は全体の半分程度の温度になり、上からの熱放射と同等の影響があると考えられる。



出典:土川忠浩、近藤恵美:車いす乗車者に対する日射および照り返し放射熱の影響評価に関する研究,平成27年度日本建築学会近畿支部研究報告集,pp.173-176,2015