日本建築学会
環境設計運営委員会
環境バリアフリー小委員会
Subcommittee of Environmental Barriers-free

 重度の体温調節障害を持つ頸髄損傷者(以下頸損者)の生活習慣の違いによる環境温度への適応の差(違い)について、人工気候室実験のデータをもとに調べた。
 室温27, 29℃における体温の変化量(平均値)を、スポーツをしている方、スポーツをしていない方、学生別にみたものを図1, 2に示す。スポーツをしている方、していない方の分け方は、損傷レベルC5, 6, 7の頸損者を、車椅子バスケットボールをしている方としていない方で分けた。室温27, 29℃ともにスポーツをしている方は、それほど体温は上がっておらず、健常者と同じような変化を示していた。一方、スポーツをしていない方は大きく体温が上がっていく傾向にあった。この結果より、スポーツが頸損者の環境温度への適応能力を向上させる可能性があることが示唆された。もちろん、体をなかなか動かせない頸損者が多いと思われるが、可能な範囲で体を動かすことは、QOLを向上させる方法の一つかもしれない。